困ったときのFAQ

FAQ

困ったときのFAQ

私どもが、先生方からの開業相談をいただく中で、こんなご質問(あるいはケース)がありました。当然問題は大小様々で、具体的なものからまだまだ抽象的なものまであります。もちろん正解が一つではないケースも多いのですが、これからご開業を目指し、同じ様なお悩みを持っておられる先生方の参考にしていただければと思い若干事例研究的な要素を含めてご紹介します。

ただし、全く同じ開業など絶対に存在しません。「同じようなケースだけれど自分とはちょっと違うな」と感じたら、お気軽にジャパンデンタルにお問い合わせください。ちょっと泥臭い問題から法的な問題までいろいろ取上げていくつもりですので時々のぞいてみてください。

質問一覧

◆収入増のためには
◆歯科衛生士の求人
◆資金繰りが厳しいのですが
◆専従者給与とは?
◆開業後の保険加入について
◆全スタッフのパート対応について
◆開業時のリース対応について
◆良い開業物件がみつからないのですが?

収入増のためには

Q
開業以来10年の間に周辺に3軒の新規開業があり、患者数・診療収入ともに減少、ジリ貧気味で、今後の医院経営に不安を抱える状態です。収入増のため、自費診療により傾注した医院経営を検討したいのですが、どのような点に注意すべきでしょうか?
A
国民総歯科医療費が伸びないなか、歯科医院数だけは毎年1,000件前後の増加傾向が続き、診療時間の深夜くまでの延長や祝日・日曜日までも診療という苦しい努力がなされています。しかし、個人の生活、場合によっては健康までをも犠牲にした努力も、公的健保中心の診療収入では必ずしも報われていないのが現状です。このため、都心の医院を中心に、いかに自費診療収入増を図るかという試みがなされています。

その際の注意点を何点か以下に箇条書きします。自身の医療技術面スキルアップと同様に、自信に裏打ちされた説明・会話能力のアップが重要に。また、スタッフにも患者接遇、応対能力のスキルアップを。(自信のない話では、信頼されない)

機械設備、内装など、視覚など五感に訴える形での医療環境整備と、院内掲示物・印刷物での積極的な説明努力を。(環境が同じで、治療費だけ自由診療扱いでは患者さんは納得しない)限られた経済力ある患者さんだけはなく、広く、経済的負担可能なローン・クレジットカードなど、分割支払い手段の準備を。

 

歯科衛生士の求人

Q
1年前に入った衛生士が急に退職し、代わりの衛生士を採るため有料求人誌に広告を出したのですが、応募者がひとりもありません。他医院ではどのように求人しているのでしょうか?
A
最近の専門職ブームから、医療専門職として衛生士人気は比較的高く、年間7,000人を超える有資格者が新たに誕生する一方、仕事の魅力が低いとして、せっかく資格をとりながら早い時期に離職し、業界から去る人も少なくないのが現実です。また、最近の景気回復傾向から、衛生士資格者だけでなく助手職も他の一般求人と競合し、確保が難しいという厳しい現況にあります。ご質問は、「どのように求人するか?」という趣旨ですが、単に求人手段の議論に留まらず、以下に列記するような医院経営者としての基本認識が必要です。

1.仕事のやりがい、達成感を充足させるため、「目標」の与え方、その「評価」 方法をスタッフにも判るよう に開示しているか。

2.労働時間管理方法、就業規則・給与規定の制定など、院長の恣意的判断、時としてその気分次第で変わるのではなく、ルールに沿った職場環境とする努力をしているか。

3.少子高齢化の進捗とともに、今後、労働需給はより厳しくなることを理解し、給与その他待遇の面で、スタッフがより長く就業できる工夫をしているか。

4.スタッフは自身が育てるものと理解し、即効性だけに目を向けず、中長期的な事業計画のなかで、教育機会の提供、労務コスト負担を認識しているか。

求人手段には有償・無償さまざまな方法があります。それぞれ一長一短ありますが、スタッフを院長の単純補助労働者と考えず、中・長期的な労働需給関係悪化を不可避な前提と理解し、長い時間かけ教育し、そのコストに見合うよう少しでも長い期間勤続してくれる労働環境が作れるか、ということに尽きます。
その観点からすれば、経験者の中途採用(有料専門求人誌・折込広告など)よりも、即戦力化は期待できなくとも、新卒者求人(衛生士学校などへの無料求人)とその求人チャネル確保を優先すべきと考えます。

 

資金繰りが厳しいのですが

Q
開業後1年が経過しましたが、思うように来患数が伸びません。

それに加えて、今年の4月からの保険点数改訂以降の収入がますます厳しい状況となっています。 資金繰りがとても厳しいので、一時的に短期の資金を借り入れざるを得ません。雑誌広告で見かけた金融会社に確認したところ、金利条件は15%と高いのですが歯科医師ということで直ぐに融資してくれるようですので、300万円の融資を受けようと思うのですがいかがでしょうか。

A
結論から言えば、その条件の融資を受けるべきではないと思います。15%という金利は、最近世間で話題の違法に高い金利ではありませんが、少なくともこのような金利水準での事業資金借入れで、歯科医院経営を成立させるのは難しいということです。ましてや今の先生の状況で、返済の計画が成り立つとも思えません。

「少額だから」「短期間だから」と安易に借りられる資金に手を出してしまうのは、歯科医院経営者として事業を継続していく為には非常に危険な発想です。仮に一般の企業で、確実に3ヶ月後に決済できる資金が確定している場合に、正につなぎの資金として借り入れるケースはあるかもしれません。しかし、残念ながら歯科医院の収益構造を考えた場合には、そんな可能性は有り得ません。

開業時のことを思い出してみてください。おそらく開業資金として大きな金額を借り入れたのではないでしょうか?但しその際には、マーケットリサーチを行って、事業計画を作成し、事業として成り立つかの検討をして「これなら大丈夫」、「この借り入れなら返済をしながら十分やっていける」との確証をもって臨んだはずです。

ぜひ、きちんと事業性を検証して、開業資金を融資してくれたところに相談してみてください。相談すべきは、まずは来患数を増やすためにどうすべきかであり、今の経営に問題が無いかの分析であり、結果的にどうしても借り入れを行う必要があるのであれば、事業を継続して行なう中できちんと返済していくことが可能な条件での借り入れをしたいという順番です。

 

専従者給与とは?

Q
開業後は、妻に一部経理関係を含めた事務を手伝ってもらおうと思っています。その場合に、妻に対する給与は「専従者給与」として処理できるときいたのですが、「専従者給与」とはどのようなものなのでしょうか?
A
専従者給与でも、先生の申告が青色申告か白色申告かで異なりますが、ここでは歯科医院で一般的に行われている青色申告の場合(青色事業専従者)を中心にお話しします。

青色申告を行う先生が、「青色事業専従者給与に関する届出書」により届け出ている、先生(居住者)と同居している(生計を一にする)奥様や15歳以上のお子様など(配偶者その他の親族)の青色事業専従者に支給する給与は、届け出た範囲内でかつ適正な金額であれば、雇用している職員に支払う給与と同様に全額必要経費とすることができます。つまり非常に簡略化して言えば、今回ご質問の歯科医院の事務を手伝う奥様に支払う給与は、歯科医院としては全額経費として扱うことができるということです。

ここでは、「青色申告」を前提としてお話ししましたが、法人化されていない個人事業の場合には、事業と家計が「ごちゃ混ぜ」になりがちです。 そこで、きちんと帳簿付けなどがなされていない「白色申告」の場合には、配偶者の場合は最高86万円、その他の事業専従者の場合は50万円までしか歯科医院の経費としては認められませんので、青色事業専従者の優位性は非常に大きなものです。 従ってぜひ有効にご活用いただきたい制度ですが、実際の資金繰り上は、青色事業専従者給与も歯科医院の事業用資金として使ってしまっているケースをよくみかけます。 せっかくの有効な制度ですので、資金繰上もぜひ事業と家計をきちんと分け、奥様の給与も所得税引き後の手取り相当分は明確にした運用を行ってください。

 

◆開業後の保険加入について

Q
最近開業したのですが、生保外務員から「責任が重くなったのだから、是非保険に加入を」と勧められています。開業直後で資金的な余裕もなく、保険のことはまったく判らないので迷っています。 開業時の生命保険はどのように考えればよいのでしょうか?
A
たしかに保険は多様、多岐に渡る、専門家でもないと難しいと感ずる商品です。保険の機能は大きく分けて「保障」、「貯蓄」の二つですが、比較的年齢が若く、特に開業直後のように収支見通しがまだ確実でなく、資金的な余裕もない時期は、このうち「補償機能」中心に考えるべきでしょう。

1.開業時の借入金対策
ローン付帯「団体信用生命保険」(略称団信)か、銀行借入金に団信が付けられなければ、時間経過とともに保険金額が減少してゆく「逓減定期保険」が、保険料負担も比較的軽く、借金返済負担の保障を目的とする保険として適当です。

2.家族の生活保障対策
開業時事業用借入金が(1)の保険で返済となれば、診療所の売却、賃貸などで、家族の生活目途はある程度たつことになりますが、子供の教育費をはじめ長い期間の生活保障となれば、十分とはいえません。この不足部分(個々状況によりますが最低限5,000万円から)を、①とは別に「定期保険」(いわゆる掛捨型保障機能のみの生命保険。  加入時年齢が若ければ、大きな保障を比較的低い保険料負担で賄える)で準備すべきでしょう。

3.貯蓄手段としての保険
保険外務員はその募集手数料収入のこともあり、貯蓄機能も一部ある保険(定期保険特約付終身保険な)をどうしても勧め勝ちですが、収支に余裕なく、その保障利回りも低い現在、「貯蓄」を考えるのは、経営が軌道に乗ってからでも遅くありません。

4.所得補償の必要性
病気・ケガで就業不能になった場合の休院対策として、休業補償制度(損保「所得補償保険」など)への加入は不可欠です。生命保険はあくまで死亡(もしくは高度障害状態)した場合に保険金が支払われます。 むしろ、比較的若い年代でのリスクは、就業不能・休院で医業収入が途絶えた場合です。

 

全スタッフのパート対応について

Q
開業にあたって人件費を抑えたいと思っています。スタッフは全員パート勤務にしたいと思っていますがうまくいくでしょうか?
A
勤務医時代の発想であればご質問の内容も理解できますが、開業後は院長として診療以外も含めた、院内の全てに一人で対応しなければなりません。 経営面から言えば、確かに人件費は収入の多寡にかかわらず、毎月発生してしまいますので、経費中の固定費としては大きなものです。

しかし、まず院長が診療に専念し得る環境を作り上げる為にもスタッフの問題は最重要課題であり、院長先生の診療方針や経営方針(スタッフの段階では医院運営方針)を理解し、患者さんと院長先生をつなぐヒューマンリレーションシップを含めて、安心して任せられる核となるスタッフの育成・確保は不可欠です。  

少なくともこのポジションには、常勤で比較的長く勤務してもらえる人を配置すべきでしょう。 一般企業と異なり勤務時間が非常に特殊な形態となりますので、午前と午後あるいは夜間に勤務形態を分けて(蛇足ですが夕方5:00以降のパートタイマーの確保はなかなか難しい側面もありますが)、別々の人をパートタイマーとして雇用する方法も悪くはありませんが、全スタッフをパートタイマーのみとすることには賛成できません。

 

開業時のリース対応について

Q
開業に向けて、開業資金が足りません。銀行からの融資も難しいため、機械代金はリースの利用を勧められています。機械代金はリースを利用するべきでしょうか?
A
結論から言えば、高額なリース利用はお勧めできません。

1.リース期間
まずリース契約の期間は、リース物件の法定耐用年数によって制約されます。通常法定耐用年数での期間設定が多いと思われますが、陳腐化の激しいコンピューター機器等と異なり最近の歯科用医療機器の多くは、法定耐用年数程度の期間で入替えられるケースはかえって少ないようです。

しかし自分で購入されたもの異なり、リース契約終了も後引き続きその機器を使用したいと思えば、結局毎年再リース契約をせざるを得ません。

2.リース解約
リース契約には、中途解約する際に大きな制限があります。リースを契約途中で解約するためには、通常残りの期間に支払うべきリース料を一括で支払うような規定損害金が発生します。  

しかも、リース物件はリース会社のものですので、基本的には契約解除後は先生の手元には残りません。開業時に必要な資金を調達する方法はいくつか考えられますが、とりあえず調達の容易さだけで選定してしまうと、結局高いものにつく可能性もありますので、開業後の将来的なことも踏まえて検討してください。

 

良い開業物件がみつからないのですが?

Q
私どもにご相談いただいた段階で、既に先輩や知人の紹介で2年近くも開業物件を探していたA先生、いろいろな種類の物件を見てきたけれどどれもピンとこないとのこと。 開業を決意されるまでも若干時間がかかっており、この時ご自分の年齢が既に37歳という意識が強く、その為か若干あせりがあったようです。
A
まずお聞きしました。

開業地としては、どこか特定の地域や立地環境をイメージしていますか?
テナントか戸建てか?あるいは大きさなど開業の形態はイメージしていますか?
何か専門性を打ち出した形での開業をイメージされますか?

これに対するお答えは「良い開業物件があればどこでも良いが、オフィスの多い都市型のビルテナントに入りたい」「スタディグループ等で若干勉強したので矯正や審美的なことも行いたいが、経営的なことを考えると一般GPの分野で、しっかり患者さんがつくところを優先したい」ということでした。これでは、いきなり特定の物件が決まるはずはありません。物件をご紹介したくとも、探す手がかりがなかなかありません。

そこで先生と一緒にそれぞれの物件の特徴をご説明しながら2ヶ月程度をかけて3種類の特徴的な物件の検討をしました。一つは都心の比較的大型のオフィスビルのテナント物件で、二つ目は郊外型の中堅スーパーの駐車場内に建設予定のテナント物件、最後に都内の住宅地内にあるコンビニエンスストア2階のテナント物件です。結果的にA先生は、三番目のテナント物件での開業を選択されました。最後の物件は、それまでの打ち合わせの中で、当初お聞きしたころより若干具体的になってきた先生の条件や資金計画と少しづつ整合をとった物件でした。都内ながら住宅地の4階建ての2階部分で、スペース的にはほぼ30坪、若干天井高が不足していましたが内装で配管を工夫し、ユニット4台の配管が十分に可能で、1台分を若干セパレートすることで、自費の患者さんにもゆったり説明できるものでした。立地的にも大型団地と戸建て住宅の境界のような立地の物件でしたので、お子さんから、お年寄りまで住民のプロフィールはまさにGPメインの自費分も結構多い状況を期待できます。
開業後はまず保険の患者さんが中心でしたが、自費の割合もすぐに高くなり、驚くほどの成功となりました。よくある話しじゃないかと笑われる先生も多いでしょう。そうです実際に私どもにも非常によくある質問・相談です。しかし、ご自分の開業にきちんとしたイメージもなく、事業計画の概念もない、漠然と物件を探していた時には良い物件が出てきても、良い物件の条件がはっきりしていなかったため、「もっと良い物件があるのではないか」と思うと最終決定することが出来なかったそうです。自分にとっての良い物件と他人にとっての良い物件は違います。

自分のイメージを具体化し、物件の立地や環境によっての患者層の違いや賃貸条件の特徴などをこちらも具体的なイメージとして比較しなければ、最終決定する判断基準ができないのです。

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