医療法人 たつみ歯科医院
院長:巽 継一郎(たつみ けいいちろう)先生
【経歴】
2011年 大阪歯科大学卒業
2012年 大阪市内の医療法人で勤務
2017年 父親の診療所(旧巽歯科医院)で一緒に勤務
2020年 たつみ歯科医院を開業
2025年 医療法人たつみ歯科医院設立

はじめに(ジャパンデンタルより)
今回、VOICEにご登場いただく巽継一郎先生は、お父様が歯科診療所を経営されておられました。巽継一郎先生がご卒業後は他の歯科医院にて勤務医として勤務する傍ら、お父様が経営する歯科診療所にも勤務し、2020年にはお父様の診療所から一区画離れたところで新しく「たつみ歯科医院」を建築し、新規開業されるとともに、お父様の診療所は閉院されました。さて、ご両親が既に歯科診療所を経営されている場合には、多くの悩みがございます。
・ご両親の診療所を継ぐ?継がない?
・継ぐ場合には、一緒に診療する引継ぎ期間を設ける?設けない?
・一緒に診療する間の主は、大先生?若先生?
・ご両親の診療所をそのまま使用する?リフォームする?近くで新しく建てる(借りる)?
と、考えなければならないことが沢山あります。これから、開業(継承含)をお考えの先生方にとって、巽先生のご経験がご参考になるのではないかと思います。
開業を決意したきっかけ(開業への想い)
大学を卒業し臨床研修終了後、5年間勤務医として働きました。勤務医として働いている間も、土曜日の午後など父の診療所に手伝いに行っていました。父の診療所は、1階が祖父母が元気な頃に営んでいた文房具店、2階が父の診療所という造りでした。
私が手伝いに行っていた頃にはもう、1階はシャッターが閉まったままという状態でしたが診療所は2階のままでした。ご高齢の患者様も多く、急な階段を上り下りしなければならず動線は危険でもあり、本当に通いづらい環境でした。
もともと小さい頃から歯医者になって父の診療所を継ぐという気持ちはありましたので、父の診療所を手伝いながら、「この環境をなんとかしなければ」という思いをずっと持っていました。ですので、丸5年勤めた勤務先を退職するとその後すぐに実家に戻り、出来るところから少しずつ診療所の改善をしていきました。この頃には継承開業するという気持ちはより強くなっていて、どんな診療所が良いだろうかと考えながら日々診療をしていました。
どんな診療所をつくりたかったか
紙カルテからレセコン導入。器具の整理や模様替えなど、取り掛かれるところから父の診療所を改善していきました。しかし、一番の問題は2階であることでした。開業するのであれば、絶対に1階にしなくてはいけないと考えていました。それに加え、来院した患者様が靴の脱ぎ履きがとても大変そうにしている姿も見ていましたので、土足OKの完全バリアフリーにしようと決めていました。
高齢者が多い地域なので、車椅子などでもそのまま治療を受けてもらえる環境を目指しました。また、診療所を新しくすることで小児患者を増やしたいという思いもありました。乳幼児から高齢者まで幅広い世代の健康を支える医院にしたいと考えていました。
開業前と開業後のギャップ
開業前は「こんな医院にしよう」「こんな機材を導入して、こんな治療をしよう」と夢も膨らみます。しかし実際に開業するとなると、想像しなかったような時間とお金がかかりました。特に、リフォームにするのか新築にするのかは大きな悩みとなりました。リフォームの図面も考えながら、近隣地域で土地探し。さらに融資の相談など日常の診療以外の悩みがとても大きくなります。
たまたま近隣に良い土地が見つかり、土地の購入から新築二階建てで診療所を構えることができましたが、開業後もさまざまな悩みがありました。今までの勤務医時代と違い、スタッフや家族の生活に責任が生まれます。よく言われる話ですが、歯科医師とマネージャーと経営者の掛け持ちそのものです。特に経営状況の把握と向上のためには常に新しい視点で物事を考え続けなければいけないと思っています。
ジャパンデンタルについて
土地購入、新築からのスタートということもあり必要融資額がかなりの額になりました。さまざまな銀行などとも融資相談させていただきましたが、額が大きすぎてなかなか融資が通らない状況でした。そのような状況でもジャパンデンタルさんは柔軟に対応してくれ、融資額、期間も無理のない計画で融資してくれました。開業前のまだリフォームにするか新築にするか悩んでいた頃から、メーカーや建築会社との打ち合わせなどにも同席してくれ、開業に対する考え方やビジョンを共有した上で融資の相談に乗ってくれたので、大変安心感がありました。
打合せを重ねることで私自身がこの開業でやりたいことと今実際に出来ることが明確になりました。その中から優先順位を付けることが出来たので、開業時は建築工事を1階部分と2階部分の最小限に抑え、次のステップに進んだタイミングで2階の改装工事を行うという形を取り、開業時の投資金額(建築費)を圧縮しました。一度にすべての工事を行うのに比べて、分けて行う方が少し割高になったかもしれませんが自分の中での優先順位付けをしての選択ですので損をしたとは思っていません。それに開業後の今、本当に必要なことは開業後にしか分からないことなので、2回に分けて建築工事をすることにしたのは結果的に良かったと思います。ひとり一人の開業計画に寄り添った提案をしてくれる会社です。
これから(親子継承)開業される先生方へのメッセージ
私が開業するにあたって、父からは「口は出さないので自分の思うようにしなさい。」と言われていました。そのおかげもあって特に親子間で衝突することもなく開業を進めることができました。ただし、継承するとなると患者引き継ぎを行うことになります。引き継ぎをスムーズに行うため、開業するまでの期間は開業準備を進めながら、父の医院で診療を続けました。
約3年かけて今まで”父の”患者様だった方々が”たつみ歯科医院の”患者様となるように関係を築いていきました。この移行期間がとても大切だったように感じます。臨床などでは反発したり、合わないと思ったりすることもあるのかもしれませんが、患者様はそんな親子ゲンカ見たいわけはありません。お互いの得意分野、得意な患者層を理解した上で協力する姿勢が必要だと思います。
今後の展望
ありがたいことに開業5年目にして法人化することとなり、それに合わせて元々予定していた2階の増設を準備しています。思いのほか、小児患者さんもたくさんきてくれるようになってきたので、小児に特化した診療スペースを準備しています。また、院内ミーティングなどがスムーズに行える空間づくりも同時に整えていきたいと考えています。
最後に(ジャパンデンタルより)
開業にあたって多くの先生方は不安や悩みを抱えられておられます。また、勤務医から経営者へとステージが変わることにより、診療以外の経営やマネジメントの問題も大幅に増加します。そのため、勤務医時代には感じたことのないプレッシャーを感じることもあると思います。
弊社はご融資だけでなく、歯科医院専門コンサルティング・ファイナンス会社として、先生方の不安や悩みも共有しつつ、1979年創業以来の蓄積したノウハウをすべて提供し、成功へと導くお手伝いをして参りたいと思います。
巽継一郎先生におかれましては、ジャパンデンタルへご相談とご利用をいただき、誠にありがとうございます。益々のご発展をお祈り申し上げます。
