JD COLUMN

ジャパンデンタルのコラム

2021.02.22 コラム

雑感2021年~1.確定申告

㈱ジャパンデンタル代表取締役社長

今井範嗣

 
今井範嗣 ウィキペディア(Wikipedia)で検索してみたところ、確定申告とは・・・以下抜粋である。
 

確定申告は、日本の租税に関する申告手続を言い、次の諸点を指す。個人が、その年1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費や扶養親族の状況等から所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定すること。

 
これだけを読めば誰でもお分かりになると思うが「確定申告=所得税額確定」と言う事になりそうだ。歯科医師の先生方は、毎年この確定申告と言う行為自体を、毎年連れ添ってきた馴染みの税理士先生に「上手くやってよ」などとお話しをされながら確定申告書の出来上がりをお待ちに成るのでは無いだろうか?筆者は金融機関に勤務して30年以上であるが、個人事業主や法人の代表者等に拘わらず「確定申告書」の内容や決算と言うものに関して高いレベルで関心を示し、1年間の成績を語れる経営者に遭遇する事は稀である(あった)と常々考えている。それは何故なのかと考察する次第である。
 
 

1.歯科医師は医療人か?経営者か?~医療人だからとの声高の主張!

良くある議論かも知れないが答えは明確。答えは両方だからだが、よく聞く話に「医療お宅」「医療バカ」等の話が出てきて、「あの先生は治療が大好きだが、お金支払いや経営に興味がない」とか治療お宅でも無いのだけれど「経営などと言うものは面倒でお金の仕組みには興味が無い」等と言った話。
 
何千万円とか、場合によっては億単位の借金をして医院開設をしたのだが、(治療に)忙しくて手が回らいとの言い訳をして、自分自身の医院の経営に興味が持てない・・・愚かな話だと思う。ならば、経営に関わらない「勤務医」「研究者」と言った肩書で一生を過ごすべきであったろう。

 
 

2.確定申告の本質は何か?経費なら得した気分なのか?


 
馴染みの税理士先生に「上手くやってよ」とは何を意味するのだろうか?大抵の場合は「税金を減らして欲しい」「(個人でつかったが)経費でおちるか?」との意味なのか、私は個人事業主でもないのでその言葉が何を望む言葉なのか、その本質を理解し難いのであるが、推測するに
 

①(家族との食事、或いは仕事に関わらない個人支出だが)経費でカウントしておいて欲しい!
②経費で処理すれば、個人の懐は痛まないよね!

 
と言う事なのだろうか?本質的には個人事業主には事業主も個人もなく1人の人間であり、お金と言うものはその1人が稼いでいると言う事を失念していると思われるのである。上手くやって貰った心算でも、税務署は税務調査にも来ますよ!

 
 

3.確定申告を見ても理解出来ないとの主張

何故確定申告を見ないか・・・見ても余り理解出来ないかもしれないし、それは医療人と自認する歯科医師の先生には「税理士や事務長の範疇だと!」主張される方もいるかもしれないが、簡単に言えば「あなたの通信簿」ですが興味ありませんか?と言う事だ。
 
学生時代の自身の成績やお子さんの成績には興味は示すけれど、自分自身の成績には「興味を持てない」と言う事か?だから、見ても分かりません!との主張は当たらないと思う。
 
こう考察すると確定申告とは興味を持つべき「通信簿」では無いかと認識出来そうであるが、数字の羅列は見るだけでも面倒かもしれない。筆者は毎年300以上の確定申告を拝見しているが(税理士は申告書を作成し所得税を確定する立場であり、貸金業者は貸したお金が安全に返済されるかと言った意味から確定申告を拝見するので見方が
違うのかもしれない)、
 
個人事業主の確定申告はそれほど見方が難しくも無いので以下に簡単に書き記したい。お金の成績簿なので見るべきポイントは以下の3点で十分である(細かい事を記せばキリがない)
 

 

①歯科医院の売上はどうなったか?~一番簡単な見方である。

・前年対比で売上は増えたのか、減ったのか。
・「保険収入」「自由診療」の内訳区別や、歯科業界の一般的な指標対比で自医院の売上がどの程度の位置付けにあるのか大まかに掴めば十分では無いか?
・「自身の目指す売上数値」と乖離があるのか?良かったのか?悪かったのか?
 
但し、この数値(売上)が極めて低い医院はお金の意味では如何ともし難い部分がある。
売上が多い医院が「良い医院」とは必ずしもならないが、極めて少ない医院は経営的には「良くない医院」である事は間違いない。

 

②利益はどの程度出たのか?

そもそも利益とは何か?人によって考え方も異なるが、個人的には所得税青色申告決算書の「差引金額」が大まかな意味での利益と理解している。「売上」から「原材料費」と「一般経費」を差引したもの。しかし、この数字自体にはそれほど大きな意味がない。その理由は「税金算出には更にひと工程」があり、個人事業主としての医院がどの程度のお金を生み出したかもこれでは分からないからだ。それでも一つの指標としては役に立つ。

 

③キャッシュフロー(一年間に生み出した手元のお金)は幾らあるのか?

個人事業主なので、あくまで医院のお金と言う立ち位置で考えると、上記②に経費に含まれる「減価償却費」と記載されている数値を加えてみると「償却前利益」と概ね言えそうだ。
これが、概ね「歯科医業で生み出したお金」と考えれば良いと思う。これが最重要な数値。この数値の範囲で「事業性借入の元金返済」「住宅ローン返済」「生計費」「貯蓄」をせねばならない。この数値が小さいと色んな意味で苦労する羽目になる可能性もあるだろう。

現状分析論はここまでにしておいて、更に考えなければいけないことは「過去を将来に活かす」事だ。しかし、医院経営に興味が無ければ苦痛な作業としかならない。すなわち
 

①今年の成績はどうだったのか?良かったのか、普通なのか、悪かったのか?
②その具体的な自己判断根拠は何か?
③その根拠を活かして、今年はどの様に戦略を立てようと考えるのか?

 
例えば「コロナの影響はどうか?」「原材料費はどうだったか?」「無駄な経費は無いか?」「ケチり過ぎて失敗した経費は無いか?」などなど。その結果としての納税金額をどう考えるのか?
 
今回は季節的なお話し。大まかな話に過ぎないが、歯科医師専業ノンバンクが「歯科医師の確定申告」を見て何を考えているか・・・ご参考までにお役に立てれば幸いである。

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