JD COLUMN

ジャパンデンタルのコラム

2024.07.16 コラム

自分に合う優秀なコンサルタントの見分け方

入江㈱ジャパンデンタル
執行役員企画本部長兼システム部長
入江 英之
 

1.コンサルティングとは

コンサルティングと一言で言っても、総合コンサルもあれば、戦略系、IT系、人事系、財務系などのテーマ別、製造、卸売、小売といった業態別、金融、飲食、医療などの業種別があります。また、規模も大企業や大手から個人、資本も国内から外資など、多種多様なものが存在します。
 
コンサルを利用する目的は、新規事業であったり、問題点の改善であったり、規制対応であったり。また、内部では解決できないものであったり、外部的・客観的検証が必要だったりと多種多様に見えますが、大枠で見れば「課題解決」です。
 
コンサルと聞くと何か特別難しいことをやるように感じるかもしれませんが特別なものはなく、会社や事業で行う通常業務での課題解決も本質やプロセスは同じで、「実態把握」「分析・検証」「仮説の構築・提案」「施策の導入・実行」といったことを行います。
 
近年のコンサル業界、その中でも特に大企業や大手は比較的待遇が良いところが多く、就職先として人気があって優秀な人材が集まっているようです。あるいは世の中にコンサルの需要が旺盛であることの結果なのでしょうか。
 
私が今までに接したことのあるもしくは協働したことのあるコンサルタントは相当数おりますが、特に大企業や大手コンサルティング会社に所属する人は優秀な人が多かったように思います。その分フィーは高いですが・・。但し、これは私が法人の立場(BtoB:法人対法人)で見た印象であり、クライアントが個人の場合の目線だと必ずしも当てはまらないかもしれません。

 

2.自分に合う優秀なコンサルタントの見分け方

歯科業界では個人の医院あるいは法人であっても実質個人経営が大宗です。歯科医師の先生方が歯科医院開業や経営上の問題に陥った際に誰かに相談する場合、個人の目線で自分に合う優秀なコンサルタントをどうやって見分けるかについて、私なりの見方「4つの項目」をお示ししたいと思います。

 

①難しいことを簡潔に分かりやすく説明できること

難しいことを難しいまま説明するのではなく、相手が分かるように説明しているか、すなわち受け手であるクライアントが理解できるように説明できているかは重要となります。
難しいことを簡潔に分かりやすく説明するためには、「多角的に見て構成要素ごとに分解して本質を抜き出して再構築(整理)すること」が必要です。これは「実態把握」「分析・検証」のプロセスにおいても基礎的かつ必要な能力のため、これが出来ていなければ次のプロセスの「仮説の構築・提案」が土台から曲がっていることになり、出てきた提案が的外れになるかもしれません。
 
説明が難しいあるいは聞いていてよく分からないということであれば、コンサルタントとしての基礎的な能力が欠けている可能性があります。また、コンサルタントがクライアントとの知識や経験レベルの差を理解せず、もしくは埋めずに一方的に話しているだけとなります。すなわちクライアント目線に立っておらず、コミュニケーション能力が欠けているのかもしれません。

 

②引き出しが多いこと

引き出しの多さとは経験値のことです。成功事例、失敗事例をどれだけ経験しているか、どれだけのパターンを持っているかは重要となります。人はどうしても自分の知識や経験の中でしか考えられないため、その経験値が高いほど、すなわち引き出しが多いほど適切な解決策が提示されやすくなります。

想像で話をされるよりは、数々の成功事例や失敗事例をもとに話をされることの方がはるかに説得力があり受け入れやすく、課題解決への実現可能性も高くなるでしょう。
過去に歯科業界の中でどういった先をどれだけの数を担当したのか、実務経験に勝るものはありません。なお、担当者の経験値が低くても高い経験値を持つ者のバックアップが整っているチームや組織でのコンサル態勢であれば、補強は可能な項目だと思います。

 

③クライアントの気持ちや考えを出発点にしていること

クライアントの気持ちや考えを理解し、共感できるところは共感し、常にそれを出発点としているかは重要となります。法人と違い、個人の多くは理屈よりも感情が優先します。コンサルタントがどんなに正しいことを言っても、理屈が正しくても、感情的な反発があればどんなに良い提案をされても受入れがうまくはいきません。クライアントの気持ちや考えを理解し、共感できるところは共感しなければ、相互の信頼関係は生まれません。それが出来ていないのであればコンサルタントが自分の考えを押し付けているだけか、クライアントのことを正しく理解していない可能性もあります。

但し、クライアントの気持ちや考えに100%従うべきと言っているのではありません。コアとなる譲れない部分とそれ以外の部分に分けて、あるいは駄目な部分は駄目として取捨選択し、もしくは優先順位を付けたうえで進めていくということです。

 

④事後フォローがあること

必ずしも必要な項目ではありません。クライアントが法人であれば社内のチェックやフォローがされるでしょうが、個人の場合は誰かがフォローしてくれるわけではありません。
コンサルタントがどんなに良い提案をしても、クライアント自身が確りと「施策の導入・実行」および事後チェックをしていかなければ、折角のコンサルの効果が薄れてしまい無駄に高い買い物となってしまいます。それが出来ないのであればコンサルタントにフォローをしてもらう必要があるでしょう。
 
 
以上、「4つの項目」を述べてきました。歯科医師の先生方も患者に説明し治療をするに際しては、同じことをされているのではないでしょうか。口腔内を診てどういう状態にあるのか(実態把握)、その原因は何か(分析・検証)、どういった治療をすればよいのか(仮説の構築・提案)、そして治療をする(施策の導入・実行)。
 
患者に難しい専門用語を並べて説明するのではなく分かりやすい言葉で説明する、治療経験の多さが選択肢を広げ成功率を上げる、患者の気持ちを最優先に治療法を決める、誰もが毎日の手入れをするわけではなく健康な状態を維持するためには定期的な通院を促す。特に分かりやすく丁寧な説明をすることは、患者との信頼関係を築くうえで最も重要なことではないでしょうか。コンサルタントと歯科医師の関係は、歯科医師と患者との関係に似ていると言えるでしょう。

以 上

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