JD COLUMN

ジャパンデンタルのコラム

2024.12.20 コラム

ビジネスにおける文章作成のポイント

入江㈱ジャパンデンタル
執行役員企画本部長兼システム部長
入江 英之

 

1.文章を通じたコミュニケーションの難しさと重要性

文章を書くことが少なくなってきた現代においても、文章を用いたコミュニケーションは、情報を正確に伝え相手に理解してもらうためにも重要です。しかし、書き手と読み手の間に存在する距離や時間の差異、立場や能力の差異により、内容や意図が誤解されるリスクも高まります。

また、言葉の選び方や文体、文脈が異なると、同じ内容でも全く違う意味として伝わってしまうことがあります。さらに文章からは、書き手の人柄や能力を読み取ることができるため、書き手の評価を下げてしまわないように気を付ける必要があります。

 

2.昔と現代の文章の違い

昔の文章は、往々にして形式張っており、堅苦しい表現が多用され、一文も比較的長めでした。手書きが主流だったため、一つひとつの文に時間と労力がかけられていました。結果として、詳細で慎重に構築された文章が多く、文体も堅固でした。

現代の文章は、テクノロジーの進化とともに、より簡潔で迅速なものになっています。電子メールやSNS、メッセージアプリなどの普及により、リアルタイムでのコミュニケーションが可能となりました。この変化に伴い、短く明快な表現が求められるようになり、読みやすさや理解のしやすさが重視されています。略語の使用も一般化しており、カジュアルな文体が主流です。

とはいえ、ビジネスの場面においては、読み手の世代や立場などを考慮する必要があり、昔のような堅固で格調高い文章は必要ありませんが、あまりにカジュアル過ぎるものは避ける必要があります。

世の中には「文章の書き方」といったハウツー本が多く出ています。本稿ではそのような詳細なものではなく、私がコンサルティングや多くのビジネス文章を読み書きしてきた経験から、ビジネス初心者向けにポイントをしぼり、以下にまとめました。
もちろん内容面に関わることはできませんので、あくまで形式面でしかありませんが、これだけでも十分に文章の品質が上がるものと思います。
ビジネスマンだけでなく、歯科医師の先生方も文章を書く場面があるかと思いますので、必要に応じて参考にしてみてください。

 

3.ビジネスにおける文章作成のポイント

<基本的な心構え>

①読み手の立場や視点に立つ
文章を書く際には、常に読み手の視点を意識することが重要です。読み手が誰で、どのような情報を求めているのかを理解し、それに応じた内容を伝えるようにします。また、読み手の立場や能力によっては専門用語の多用を避け、曖昧な表現ではなく具体的で明確な情報を伝えることが必要です。
 

<正確に伝える>

②聞かれている内容に正面から答える
質問に対しては正確に、すなわち正面から明確に答えることが重要です。曖昧な回答や回りくどい表現、ずれた回答は避け、具体的かつ直接的な回答をすることが必要です。

③事実と意見を区別する
事実と意見を明確に区別することが重要です。事実に基づいた情報と、個人的な意見や推測を区別しなければ、読み手に間違った情報を伝えることになります。事実は証拠やデータに基づいて示すことが望ましいですが、事実にも確固たるものと若干曖昧なものが存在します。確固たる事実、若干曖昧な事実、間違いないであろう推測、曖昧な推測、個人の意見や感想といった、事実と意見にもグラデーションがありますが、そこを明確にして伝えることが必要です。

④主語が誰か分かるように書く
主語が誰かが分かるようにすることが重要です。常に「私が」とか、「彼が」といった書き方が必要なのではなく、読み手が間違わないようにしなければならず、文章の中で主語が変わる際には特に注意が必要です。

⑤抽象的な表現ではなく具体的な数字や例を用いる
抽象的な表現は避け、具体的な数字や例を用いることが重要です。単に「多い」ではなく、「95%を占めており多い」というように、具体的な数字や例を用いることが必要です。
 

<読みやすくするための構成>

⑥結論や重要事項を最初に明記する
結論や重要事項を最初に明記することが重要です。読み手はまず結論を見て結論を念頭に、結論に至る過程や理論構成を読んでいく方が読みやすく、頭の中での整理や問題点などの抽出がやりやすいです。また、忙しい人は結論を見て、そこで納得すればそれ以降の記載は読まないこともあります。特に長い文章においては、結論がなかなか出てこないと、読み手をイライラさせることもあります。

⑦項番・項目立てをする
項番・項目を正しく立てることが重要です。文章全体の構成がきれいにみえる効果がありますが、読み手が忙しい場合に、結論を念頭に読みたいところだけ読むことができるようになります。

⑧段落を分ける
適切に段落を分けることが重要です。文章全体の構成がきれいにみえる効果があり、また、読みやすくなります。
 

<読みやすくするための一文の注意点>

⑨冗長な文章はやめて短く簡潔に書く
短く簡潔に書くことが重要です。冗長な文章は読み手に負担をかけます。短く簡潔に書くことで、テンポよく読めて伝えるべきことを明確にすることができます。

⑩句読点を正しく振る
句読点を正しく振ることが重要です。特に長い文章の場合は、適切な読点を振ることで読みやすくなります。

⑪接続詞を正しく使う
接続詞を正しく使うことが重要です。接続詞は文のつながりを明確にし、論理的な流れを保ちます。

⑫文体や言葉遣いを統一する
文章全体を通じて一貫した文体や言葉遣いを統一することが重要です。「です・ます調(敬体)」なのか、「だ・である調(常体)」なのか、統一することで読みやすさが向上します。なお、「体言止め」は簡潔に表現できる一方、読み手への敬意がないという受け止め方をされることがありますので、特に外部へ発信する場合には気を付けた方がよいでしょう。

⑬用語の記載順番を統一する
用語の記載順番を統一することが重要です。例えば、「A社は売上10億円、経常利益1億円。B社は20億円の売上で2億円の経常利益。」と書かれると、読みづらくなります。同じように「B社は売上20億円、経常利益2億円。」と記載順番を統一することが必要です。

⑭同じものを指す場合には同じ用語を使用する
同じ概念や物事を指す場合には、一貫して同じ用語を使用することが重要です。例えば、「りんご」と説明している中に「林檎」や「アップル」という言葉が混ざると、同じものなのか別の物を指しているのかが、読み手が分からなくなることがあります。上記の例では大きな差異を感じないかもしれませんが、読み手に混乱を招かないようにすることが必要です。

⑮金額の単位を統一する
金額を表す際には、単位を統一することが重要です。金額単位の幅が大きくなれば単位が分かれることは仕方がありませんが、例えば、5百万円、500万円、5,000千円と同じ文章内で異なる単位を使用すると、読みづらくなります。

 
 
これらのポイントを守って形式面を整えるだけでも、文章を分かりやすく、伝わりやすくすることができます。
巻末にこれらのポイントを一覧にしたものを載せておきますので、必要に応じてコピー&ペーストでA4用紙にでも貼り付けて、チェックリストとしてお使いください。
 
 
 

ビジネスにおける文章作成のポイント

<基本的な心構え>

①読み手の立場や視点に立つ
 

<正確に伝える>

②聞かれている内容に正面から答える
③事実と意見を区別する
④主語が誰か分かるように書く
⑤抽象的な表現ではなく具体的な数字や例を用いる
 

<読みやすくするための構成>

⑥結論や重要事項を最初に明記する
⑦項番・項目立てをする
⑧段落を分ける
 

<読みやすくするための一文の注意点>

⑨冗長な文章はやめて短く簡潔に書く
⑩句読点を正しく振る
⑪接続詞を正しく使う
⑫文体や言葉遣いを統一する
⑬用語の記載順番を統一する
⑭同じものを指す場合には同じ用語を使用する
⑮金額の単位を統一する

 
以上
 
 

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