板東秀典院長
【経歴】
大阪大学歯学部卒業。
自分が開業するなら「商業施設内で開業したい」と考えていたことから、商業施設内で開業する複数の歯科医院に勤務し研鑽。副院長として経営やスタッフ教育にも携わってきた。
【所属学会・スタディーグループ】
歯内療法学会
大森塾 8期
5－DJAPAN
外観
入口
開業しようと思ったきっかけについて教えてください。
勤務医として働いていると、残っている歯の本数がわからない、自分の歯に対する関心が薄い患者さんが多いとよく感じていました。私は歯科医師として自分の診る患者さんにはしっかりと歯に関心を持ってもらい、例え90歳になっても20本以上の歯が残せるような診療所を作りたいとこれまでから思い続けてきました。
副院長として勤務していた時に、出入りのディーラー担当者から勤務先の院長を通じ「自分が思い描く理想の開業地」の情報を頂く事ができ、「これだ！何かの縁ではないか」と感じた開業しようと強く思いました。
開業場所は大型商業施設のテナントですが？
勤務医として大人はもちろん、小児についての治療も経験する事ができました。開業するなら幅広い年齢層への様々な治療をとの思いから、来店客の層が幅広くなるスーパーなどの商業施設内のテナント物件での開業にはこだわっていました。
そんな中でディーラー担当者さんからの紹介です。この地域を実際に歩いて見てみると、周辺には学校が多く、また近隣居住者の年齢構成も調べましたが、働き盛りで子供がいる世帯が多く住んでいるエリアだと分かり、自分の理想とマッチする場所だと考えました。また周辺には思ったほど歯科医院が多くなく、調査すると自分の診療方針とは重複しない医院ばかりだったこともあり、ココだ！と思い開業決意は固まりました。
歯科医師会の先生方からも色々と教えて頂き、公開されている人口統計など自分が得ることのできる情報収集は自分でも頑張って集めたと思っています（笑）。もちろん開業地の市場を知る上で、税理士や業者が作った市場調査なども参考にしました。
また、ジャパンデンタルの市場調査は担当者の方から「金融機関として審査の為に作成したものなので厳しい目線で作っています」と見せて頂いた調査結果でしたが、金融機関の立場で厳しく見てもこのくらいの来患数が見込める場所なのか、と自分の開業地が好立地であることを再認識出来ました。
あとは、データ確認の為に、時間帯を変えて実際に自分の足で現地を歩き回り、時間帯によって変化する商業施設内の客層や人の流れなどについても自分の目で確認しました。 データではわからない、現地でしか得ることが出来ない貴重な情報でした。
受付
先生が開業に向けて重点的に準備したことは何でしょうか？
開業に向けて重点的に準備したことは3つです。
まずは技術力。
技術力があまりなくても流行っている医院はあると思います。ただ患者さんやその家族の方との長い付き合いを考えると技術力があった方が圧倒的に支持されると思います。勤務医時代には院長に積極的に教えを請い、休みの日も可能な限りセミナーなどに参加し自己研鑽に努めました。
もちろん、これからも医院経営もちろんですが自己研鑽は続けたいと思っています。
次に話術です。
歯科医院は歯科医業であると同時にサービス業でもあると思っています。
来られた患者さんを機械的に治療するのではなく、しっかりと会話すること。その中から患者さんの本当のニーズを聞き分ける事が必要だと考えています。院長や先輩の先生が患者さんと話をしているのを横で聞かせてもらい「どういった意図でその話をしたのか？」と質問させて頂き確認するということを繰り返し行いました。こうする事で患者さんとのコミュニケーション力を上げたいと考えたのです。
自分自身がどのような診療が得意で、他の医院との差別化をどうするのかについてです。私の場合は子供から大人まで幅広い年齢層の患者さんを診たいという考えでした。様々な患者さんのニーズにお応えしていく為に、一般GPとしての開業とはいえ、インプラントやホワイトニング、矯正など自費領域の勉強も一通り行いました。また商業施設内での開業を目指していたので、より多くの患者さんを診るためには、短時間で効率よく診療できる技術が必要だと考え、商業施設などの医院に勤務することで経験を積みました。
先生が開業に向けて重点的に準備したことは何でしょうか？
当たり前の事ですが、1人では医院を運営できないという事を痛感しました。勤務医の時から衛生士や助手と連携して治療をしてきましたので、開業前からスタッフあっての医院であることは十分理解しているつもりでした。それでも実際に自分自身が医院を経営する立場になると、思っていた以上にスタッフさんは動いて頂いていて「そんな細かいことまで？」と気付かされることが多い今日この頃で本当にありがたいです。
待合室
キッズスペース
私たちジャパンデンタルは様々に開業のお手伝いをさせて頂きましたが・・・
色々ありがとうございました。開業前だけでなく、開業後も親身になって相談を聞いてもらっています。資金の打合せはもちろんでしたが、テナントの賃貸借契約の条件交渉にも一緒に行ってもらいました。
定期借家契約なのですが、もともと契約期間は決まった契約でした。ＪＤの担当の方にテナント側の担当者に対して「事業計画書などを基に、歯科医院が開業する為にはどのくらいの借入が必要となり、15年20年とかけて返済していくものだ」とのお話をして頂き、テナント契約期間を延長してもらう事ができました。正直、賃料やその他月々経費にばかりに目がいき、賃貸借契約の細かな内容については深く考えていなかった部分でしたので、気づいて頂いた事に非常に感謝しています。
また開業後も毎月様子を見に来て頂いていて、医院の事だけでなく、私生活の事なども気にかけて頂いています。今後も末永くお付き合いしたいなと思っています。
チェア
CT
今後開業する先生方にメッセージをお願いします。
「自身の診療所の特徴、差別化戦略は何か？」この事を開業前にしっかりと具体的に考えておく必要があると思います。この内容によって設備の内容が変わって来ます。それは投資総額も、予算配分も変わるからです。
私は勤務医として診療の合間の空いている時間や休日に、開業についての勉強や準備を一生懸命していたつもりでしたが、もっと時間をとって準備をしておけば良かったと今になって思います。準備をしすぎる事はないと思うので、しっかりと時間をとって開業に向けての準備をすると良いと思います。
