医療法人明新会かとう歯科医院
大阪府富田林市本町4-17
KDCインプラント矯正センター所長:
加藤 哲先生
医療法人明新会理事長、かとう歯科医院院長:
加藤 通子先生
医療法人明新会かとう歯科医院 副医院長:
加藤 譲治先生(長男)永野 皓子先生(長女)
【歴史】
1986年 哲先生と通子先生が東京都目黒区上目黒に加藤歯科医院開設
1991年 大阪府富田林市に楠風台かとう歯科を移転開設
2007年 富田林市本町に移転開設。かとう歯科医院インプラントセンター開設
2009年 医療法人明新会かとう歯科医院に組織変更
2014年 譲治先生、皓子先生、医療法人明新会かとう歯科医院に入職
2018年 歯科デジタル技工部門 ラボデジ Labo.Digi.設置
2020年 KDCインプラント矯正センター完成
左:哲先生 右:譲治先生
左:皓子先生 右:通子先生
左:インプラント矯正センター 右:かとう歯科医院インプラントセンター
医療法人明新会かとう歯科医院は、加藤哲先生、通子先生がご夫婦で開設した歯科診療所。2014年に長男の譲治先生、長女の永野皓子先生が入職され、親子4名の歯科医師での診療体制となりました。歯科デジタル技工部門であるLabo.Digi.は、その技工士長を譲治先生の奥様である南氏が務めます。親子5名のファミリー運営による大阪府富田林市の医療法人です。
富田林市はUR都市機構や近鉄などにより開発されたベッドタウン。歴史的建造物からなる街並みが重要伝統的建造物群保存地区として有名な寺内町がある人口約10万人の郊外都市です。診療所の立地は阿部野橋から30分ほどの近鉄富田林駅から徒歩5分。国道から車でのアクセスもよく、高速出口からも15分程の為、大阪全域や隣接県からも多くの来院患者様があります。また、かとう歯科医院の良質なインプラント、インビザライン矯正、セラミック治療を求めて全国から来院する患者さんも珍しくありません。
この様に発展を遂げた明新会かとう歯科医院ですが、開業当初から順風満帆で今日に至ったのではありません。東京での開業に始まり、実家楠風台への移転、現在の本町への移転、そして隣接地にKDCインプラント矯正センター建築といくつもの大きなターニングポイントがありました。
その様な加藤先生ご夫妻と当社㈱ジャパンデンタルとの関係は東京での開業時から始まり、以来35年のお付き合い。今回当社がお手伝いしたKDCインプラント矯正センター(以下新診療所)建築について、その経緯や医療法人の将来のビジョンについて加藤哲先生にお話しをお伺いしました。
そもそも新診療所を建築しようと考えたのはなぜですか?
JD: もともとの診療所はコンクリート造の非常に立派な診療所です。1階は駐車場ですが、診療スペースの2階だけで60坪を越え、スペースとしては十分な広さです。にもかかわらず、新診療所の建築は新規開業にも匹敵する程の投資になりますが、このタイミングでこれだけの投資をすることの意義や目的は何ですか?
哲DR: 新診療所を計画するにあたっての目的は、大きく分けて3点です。
① 人員体制にあったハード面の整備
② インビザライン矯正部門の独立
③ 子育て世代への支援の実現
自院のラボを拡充することでの経営改善を模索
哲DR: 息子たちが戻って来た頃は保険診療の延長で自費診療に移行する診療スタイルでした。もちろん、保険診療で売上を上げるためにはより多くの患者さんの数を診ることが必要です。だからこの頃は集患キャパ一杯、ときにはキャパを越えた患者さんを診ていたこともあり、院内は野戦病院化。自分達もスタッフも共に疲弊してしまっていました。数をこなさなければいけない保険診療への疑問もありました。
こうした思いから、「初診時には時間を取って検査診断を行い、確りとしたコンサルテーションを行う現在の診療スタイル」に変えました。この実現の為に、2018年には5台のユニットのうち2台のスペースを「デジタルラボ」と「オペ室」に改装しました。
左上:ユニットを実質3台に減らした診療スペース
右上:診療スペースにある第一デジタルラボ。待合室は曇りガラス越しに、診療スペース側は隙間から様子が見える
下:改装したオペ室。通常の診療では使用しない
また、セレックシステムを導入し補綴のデジタル化に取り組みました。セレックシステムを導入したのは1歯単位、1ユニットと限界はあるものの、メタルフリーを前面に押し出すためです。
こうした取り組みによって、保険収入は減少しましたが自費収入が増え全体としては経営は好転したと思います。
しかし一方で、インプラントの症例数が増えた事により、技工物の外注技工料も比例する形で増加しました。
売上が増えた分、費用も増えれば意味がありません。これは「インプラントとセラミックの多い」当院にとって今後も大きな課題になると感じ、その解決策としてインプラントにフルマウスの補綴を可能とするプライムスキャンと3シェイプスキャナー、設計ソフト、5軸性inLab MCX5 CAD/CAMを自院に導入することで、原価率を引き下げ収益性の改善を図りたいと考えたのです。
人員体制にあったハード面の整備・・・人員に応じた設備整備の必要性を感じ
哲DR: 4人の歯科医師に対しユニットは3台。一人の患者様に確りと時間を取ってコンサルテーションを行う診療スタイルを徹底したにも関わらず、カウンセリングルームは1部屋のみ。必然的にカウンセリングルームの取り合いになることが頻発していました(笑)。
医院での役割分担は、「自分(哲先生)はインプラントとセラミックなど自費診療」、「通子先生はインビザライン矯正」、「譲治先生はインプラント、セラミック、保険診療とジェネラルに経験を積む」、「皓子先生は小児歯科、ワイヤー矯正、インビザライン矯正」との考えでしたが、診療方針を変え、ユニットスペースを減らした事で、逆にユニットもカウンセリングルームも不十分な環境となってしまいました。この環境ではせっかくの役割分担もなかなか機能出来ません。つまり「ソフトとハードのバランス」が崩れてしまい、「ソフト面の強みを十分活かせず」経営的にも非常に非効率な状況を抱えていたのです。
JD: このアンバランス是正が新診療所建設の最大の理由と言えるのではないかと思います。最初は哲先生、通子先生ご夫婦で開業された診療所でしたが、譲治先生ご夫婦、皓子先生が参画したいま、自分たち夫婦が元気なうちに現在の診療スタイルにあった診療所をつくり、そして将来の安定した運営の道筋をつけておきたいとお考えになられていたからです。どんな診療所を創りたいのか打合せた際にもしっかりとこの想いが伝わって来ました。
写真上:今回新設の第二デジタルラボ。診療スペースからもガラス越しに中が見える(2階)
写真左下、右下:セレックでの当日セットまでの待ち時間やオペ付添人の休憩室として利用(1階)
インビザライン矯正部門の独立させたい
ハード面の整備とも言えるのですが、従来インプラントセラミック部門と同じ環境で行なっていたインビザライン矯正を独立した矯正専用スペースとして提供することで、新たな顧客開拓の可能性を求め、症例数を増やすことによっても来患増につなげたいと考えました。
JD: 新診療所には女性専用の化粧室、乳幼児用のベッド付トイレがあり、また診療スペースも室内の設計やインテリアにも女性目線が取り入れられたリラックスできる癒しの空間になっています。まあ、インビザラインの担当は奥様でもありますから(笑)
女性を対象にした設計。インテリアも女性目線でセレクトされたインビザラインスペース(2階)
子育て世代のサポートも実現したい
歯科診療所の場合、スタッフのほとんどが女性です。長く働きたいと思っても、ライフイベントである出産、育児によりやむを得ず退職してしまうことがあります。診療所を安定的に運営していくためには良い人材の確保は欠かせません。働きやすい環境があればスタッフも定着しやすく、また募集の際にも採用がしやすくなります。そうした環境を提供できる体制を整えたいとの想いが以前から強くありました。
2007年に診療所新築した時には既に考えていましたが、(当時のメインバンクから)投資計画が大きくなり過ぎることを理由に、予算の圧縮を迫られ規模を縮小し、この部分は削らざるをえませんでした。
こうした経緯から、小さな子供がいてもスタッフが安心して働ける環境、小さな子供を預かることが出来るスペースを新診療所内に設けたかったのです。
広々としたスペースが確保されていて安心して子供を見ることが出来る。また料理教室を開催することも可能(3階)
JD: 今回の新診療所建築により、ユニット3台の増設、カウンセリングルーム2部屋、院長室の新設、院内ラボの拡充、研修会スペース、そして小さな子供を見ることが出来る場所を設けることが出来ました。2007年の建築時の心残りも今回果たすことが出来たのではないでしょうか。
法人の今後の展望についてお聞きかせください
新診療所開設から半年が過ぎ、やっと軌道に乗ってきた段階だと感じていますが、旧病院の設備更新、改修改善も暫時進めて行かねばなりませんし課題は山積しています。
実質自費診療中心の歯科診療はある限られた層をターゲットとしているため、集患、経営共に厳しいものがあることは当然のことですが、何よりも患者様一人一人のライフプランを考えた治療の提案、実行によって十分に採算可能であるという手応えを感じたからこそ今回の投資にふみきったわけです。次世代も育ち、さらに新しい分野に挑戦しながら常にトップを走るという使命に終わりはないと考えています。
最後に当社(ジャパンデンタル)のことをお聞きいたします
ジャパンデンタルとのお付き合いは35年となりました。開業当初の東京の担当者は、私どもがこうしたいああしたいという開業への希望を親身に聞いていただき、最初にお世話になることを決めたことを思い出します。それから35年の月日が過ぎて新しい病院構想実現をサポートしていただいている御縁に感謝しています。
歯科開業医サポートのノーハウを蓄積したジャパンデンタルの提案には説得力と自信がうかがえます。
歯科に特化しているからこそ、歯科業界、歯科医院の経営についての知識と経験を持った営業担当者と計画について、「投資額が過大かどうか」という表面上の話だけではなく「なぜ必要なのか?その狙いは?投資額、採算性、実現性、費用対効果は?等」様々な角度からしっかりと話し合うことも出来ました。
一般の金融機関では対応が難しかった今回の計画を実現できたのも、これまでに蓄積した経験に基づく独自の考え方を持ったジャパンデンタルだからこそだと思います。
URL:https://katosika.dental